WBC2017 ⑥

(続き)

躍進するチームがある一方で、凋落著しいのがキューバです。2004年にはアテネ五輪で金メダルを獲得し、2006年の第1回WBC、2008年の北京五輪で準優勝している強国です。しかし、これを最後に国際大会の主役の座から降りることになりました。
 皮肉なことに、プロの参加が許された国際大会で、キューバの選手たちは自らの技能の”相場”を知ってしまったのです。その結果、以降、有望選手の亡命が相次ぎ、チームの弱体化は加速していきました。キューバ政府は当局管理のもとで、選手の国外プロチームへの派遣を認めるようになりましたが、今後もフリーハンドでの契約を目指しての”亡命”は続くと予想されています。今大会のロースターの平均年齢の高さや、そしてイスラエル戦でのコールド負けは、その現実を如実に物語っていたのです。
 これまで、ラテンアメリカの野球勢力図は、キューバとドミニカがツートップを占めていました。前回優勝のドミニカも、今大会ではキューバ同様、2次ラウンドで敗れ去っています。これがただの偶然でないことは、事実上の代表チームで行なわれるウインターリーグの国際大会であるカリビアンシリーズの成績でもわかります。ドミニカは2000年代に入ってから6度チャンピオンに輝いていましたが、ここ5年は優勝から遠ざかっています。