プロ野球選手のその後12

(続き)

「『奥村さんみたいな人がいるから、安心して野球を続けられる』と言う現役選手が1人でも増えればいい。そういう前例を、僕はつくりたい」

奥村選手はそう意気込みます。

 

味わった地獄は、一度ではありません。プロ選手としての戦力外通告プロ野球を支える裏方としての戦力外通告、友人の死、昼も夜もなかったバイトの日々、そして会計試験での「三振」。。

これらの紆余曲折を経て、気がつけば前人未到の領域に立っているのです。これからの一歩一歩は、まさに自身で前例をつくっていき、後に続く人たちの道しるべになる歩みとなるでしょう。

「これからの選手に、僕のようなキャリアを二度と踏ませない」

その言葉は力強いです。

しかし、表情はあくまで爽やかだったといいます。この表情がつくられるまでにかかった歳月は16年。長いのか短いのか。そのまでかける価値があったのでしょうか。

奥村選手の今後の活躍によって、奥村選手自身がそれを決めていくのだと信じています。