プロ野球選手のその後6

(続き)

打撃投手に転向してから1年が過ぎ、裏方としての仕事も随分と板についてきた頃、奥村選手は球団事務所に呼び出されてしまいます。

その用件は、来季の契約をしない、という報告でした。

 

「今度こそ、本格的に不安になった」

そう話す奥村選手の顔はより険しくなっていました。

プロ野球選手は個人事業主で、試合に出た分の報酬が支払われます。球団職員になると従業員のような扱いになるため、ある程度の給与は保証されています。

しかし、今度はそれすらもなくなってしまったのです。

 

このとき奥村選手は、実はそれほど悲観的になっていたわけではなかったと言います。

他球団で裏方を続ける道も、もちろんありました。しかし、「若いうちに外に出た方がいい」と考えるようになり、ついに野球界を去る決意をしたのです。

そして、友人とともに、大阪の街でバーを開きました。