プロ野球選手のその後5
(続き)
そのシーズンは大いに期待されたシーズンでした。しかし、長年のトレーニングの負荷がたたったためか、肋骨を疲労骨折してしまいます。
秋には復帰を果たしたものの、どうしても患部をかばうようなピッチングになってしまったために、今度は肩を痛めてしまうことになる。
4年目が始まる頃には再び復活を果たすが、またもや肩をかばうようなピッチングになってしまっていました。それで抑えられるほどプロは甘くありません。
そのまま秋になり、ついに、その日がやってきてしまったのです。
「鳴るはずのない寮の部屋の内線が急に鳴ってね。あぁ来たかって思ったよ」
当時のことをそう振り返る奥村選手は、どこかさみしそうで、悔しそうな表情を浮かべていました。
母親にクビになったことを告げましたが、それ以外は放心状態でほとんど覚えていないとのこと。
明日からどうするべきか。言いようのない不安が奥村選手を襲っていました。
しかし、挨拶回りをするうちに、打撃投手として球団に残れる道を得て、裏方の道に進むことに決めたのです。